精油の成分を知って安全にアロマテラピーを
アロマテラピーを気楽に行うのに成分なんて必要あるの?と思われる方も多いと思いますが、アロマテラピーで使う精油の中には沢山の芳香成分が入っています。
精油によって、私達にあまり好ましくない成分などが入っており、この成分が多く入っている精油の取り扱いなどは慎重に行わなければいけません。
本などに書かれている効能だけを信じて、どれもこれも精油を使うと思わずトラブルを招くこともあります。
精油の成分は毎年同じではない
精油は育った産地や環境、気候などで成分も香りも違ってきます。ですから、毎年同じ成分量、毎年同じ香りというわけにはいかない時もあります。
大きく変わることはありませんが、毎年一定というわけでもありません。
また、ケモタイプの精油のように、同じ名前でも育った土地や環境などで大きく成分が違っている精油もあります。
ですから、成分を見て成分の量を見て確認できれば、「この精油が安全ね」「この精油は毒性のある成分を含んでいるから、こういう使い方をしなくちゃ」と分かってくるので、安全に安心して使うことがきでます。
成分が添付されていない精油の場合は、その精油を取り扱っているメーカーのHPに成分表を載せていることもありますので、問い合わせてみましょう。
今回は精油の成分についてご説明しましょう。
成分についてと聞くと、すごく難しいイメージがあると思いますが、本記事は各成分の構成などはここでは省き、各種主な成分の名称、各成分の主な効能や注意事項をご紹介します。
精油の成分のグループ
精油の成分のグループは全部で12種類あります。
●モノテルペン炭化水素類
●セスキテルペン炭化水素類
●モノテルペンアルコール類
●セスキテルペンアルコール類
●ジテルペンアルコール類
●ケトン類
●フェノール類
●フェノールエーテル類
●オキサイド類
●エステル類
●ラクトン類
です。
では、各成分を詳しく見ていきましょう。
●モノテルペン炭化水素類
名前の語尾が「エン」で終わります。
ほとんどの精油に含まれている成分です。
柑橘系やサイプレスなどの針葉樹系の精油に多く見られます。
○主な主成分名
α-ピネン β-ピネン カンフェン γ-ピネン パラシメン α・β-フェランドレン β-ミルセン リモネン δ-3-カレン リナリルアセテート
○主な効能
抗ウイルス 抗炎症 うっ滞除去 とても優れた抗菌作用
α・β-ピネンはコルチゾールに似た働きをします。副腎の働きを調節したり、自律神経系に作用します。
リモネンは減菌、抗ウイルス、抗菌作用が強いです。
免疫強化 強壮刺激 鎮咳 去痰など
○モノテルペン炭化水素類を多く含む精油
グレープフルーツ マンダリン レモン ライム オレンジ ベルガモット アンジェリカ パイン ジュニパー サイプレス フランキンセンス ローズマリー・カンファー バルサムモミ
○注意事項
揮発性が高く、熱や空気や光に触れると酸化しやすいので、冷暗所で保管し早めに使い切りましょう。
高濃度では皮膚刺激を起こすことがあります。
●セスキテルペン炭化水素類
ジャーマン・カモミール、シダー・ウッド、サンダルウッドなどの数少ない精油に存在します。酸化するとモノテルペン類のように皮膚刺激を起こすことがありますが、モノテルペン類ほど強くありません。
また、ゆっくりと反応していきます。
○主な主成分名
カマズレン β-カリオフィレン パチュレン ベチベン セドレン ゲルマクレン ヒマカレン クルクメン ビザボレン ジンジベレン ファルネセン カジネン
○主な効能
とても優れた抗炎症作用 抗ヒスタミン 細胞修復 抗アレルギー かゆみなどが特徴です。 鎮静 強壮 刺激 心身障害に優れています。
○セスキテルペン炭化水素類を多く含む精油
ジャーマン・カモミール マヌカ メリッサ イランイラン シダーウッド メリッサ パチュり ジンジャー ベチバー ミルラ
○注意事項
酸化しやすいです。
●モノテルペンアルコール類
アルコールは全て「オール」で終わります。
例)テルピネン4オールなど
○主な主成分名
リナロール テルピネン4オール メントール ゲラニオール シトロネロール ツヤノール ラバンジュロール α-テルピネオール
○主な効能
高い抗菌作用 高い抗真菌作用 皮膚や粘膜に穏やかに作用します。
リナロールは細菌に、ゲラニオールは真菌に強い事が分かっています。
テルピネン4オール、α-テルピネオール共に大腸菌や黄色ブドウ球菌に有効とされており、テルピネン4オールの緑膿菌に対して有効であることが分かっています。
他に、鎮静 鎮痛 精神高揚 免疫強化 強壮など
○モノテルペンアルコール類を多く含む精油
バジル ローズウッド シトロネラ ゼラニウム ホーリーフ ラバンディン マージョラム パルマローザ ペパーミント ローズ ティートゥリー ラベンダーなど
○注意事項
肌にやさいい成分です。また、子供さんや高齢の方にも安心して使用できます。
●セスキテルペンアルコール類
語尾は「オール」で終わります。
ゆっくり作用します。
○主な主成分名
ファルネソール ビリディフロローム パチュロール β-サンタロール ネロリドール バレリアノール カジノール カトロール α-ビザボロール
○主な効能
ホルモンバランス調整 慢性の皮膚疾患 自律神経の調整 興奮 神経過敏
ビリディフロロームはエストロゲンの働きを促します。
セドロールは血管を強壮する作用があり、サンタロールはサンダルウッドの中にしか存在しません。
α-ビザボロールはジャーマン・カモミールに含まれるカマズレンよりも強い抗炎症作用を持っています。
○セスキテルペンアルコール類を多く含む精油
シダーウッド サンダルウッド ベチバー パチュリ ネロリ ニアウリ サイプレス キャロットシード ジュニパー(バージニア) ジャーマン・カモミール
○注意事項
肌にやさいい成分です。また、子供さんや高齢の方にも安心して使用できます。
●ジテルペンアルコール類
ジテルペンはセスキテルペンと特徴がよく似てます。また、この成分を含む精油は数少ないです。
○主な主成分名
スクラレオール フィトール インセンソール マノオール アビエノール
○主な効能
ストレス解消 エストロゲンの働きを促します。 強壮など
○ジテルペンアルコール類を多く含む精油
ジャスミン・アブソリュート クラリセージ フランキンセンス サイプレスロックローズ
○注意事項
女性特有の疾患を持っている方への使用は避けてください(エストロゲン用作用があるため)
●ケトン類
語尾が「オン」で終わります。
○主な主成分名
ツヨン プレゴン カルボン メントン ボルネオン フェンゴン イソピノカンフォン アラントン バレラノン アトラントン ヌートカトン ベルベノン
○主な効能
傷を治りやすくする 抗菌 抗ウイルス 火傷 傷跡 ケロイド 脂肪溶解 免疫強化 肝臓の負担を軽くする 優れた粘液溶解があります。
○ケトン類を多く含む精油
セージ ヒソップ キャラウェイ スペアミント ローズマリー・カンファー ヤロウなど
○注意事項
ケトン類の種類によって、毒性の危険度が異なってきますが、セージやワームウッドなどにはツヨンやプレゴンという肝毒性や神経毒性を起こす成分が多く入っています。プレゴンやツヨン カンファー ピノカンファンやイソ-ピノカンファンは長期または高濃度で使用すると中枢神経に毒性を示します。
乳幼児、妊産婦 授乳中 てんかんの方の使用は避けてください。
すべてのケトン類が悪いわけではありません。ツヨンやプレゴンなどの毒性の強い成分を多く含んだ精油には十分注意するか、専門の方の下もしくは十分知識を得て使用しましょう。また、少量や短期間での使用で行うようにしょう。
●フェノール類
とても刺激が強く、香りも刺激が強いです。
○主な主成分名
カルバクロール チモール オイゲノール シンナミックアルデヒド
○主な効能
とても協力な抗感染作用があり、免疫系に強く作用します。精油の中で抗菌、抗ウイルス 抗真菌作用がダントツに強いです。
○フェノール類を多く含む精油
タイム・チモール クローブ オレガノ シナモン(葉)ベイ シナモンパーク
○注意事項
皮膚刺激がとても強いので必ず希釈して行ってください。
肝毒性が強い。乳幼児、妊産婦 授乳中 てんかんの方の使用は避けてください。長期または高濃度の使用は避けてください。
●フェノールエーテル類
フェノールと同様、注意が必要な成分です。
○主な主成分名
チャビコールメチルエーテル アネトール メチルカビコール メチルオイゲノール トランス-アネトール
○主な効能
エストロゲン様作用 消化器系の痙攣を抑制する作用が強いです。
神経過敏 興奮 うつ状態 不安など
○フェノールエーテル類を多く含む精油
タラゴン フェンネル バジル アニス バニラ
○注意事項
神経毒性、肝毒性があるので、長期や高濃度の使用は避けましょう。
●オキサイド類
語尾は「オール」です。あまり皮膚を刺激しません。
○主な主成分名
1.8-シネオール ビザボロールオキシド フラノセスキテルペン ローズオキサイド リナロールオキサイド ビザボレンオキサイド
○主な効能
1.8-シネオールを30%以上含むと薬理作用がある精油として重要視されます。
優れた去痰、粘液溶解 粘液除去 抗カタル作用があります。
血行促進 加温 皮膚の代謝促進 免疫強化
神経伝達物質のアセチルコリンを調整する働きがあるため、判断力や理解力などを向上させます。
○オキサイド類を多く含む精油
ラヴィンサラ ユーカリ・ラディアータ マートル ニアウリ・シネオール カユプテ ローレル ローズマリー・シネオール ユーカリ・グロブルス
○注意事項
刺激の強い精油もあるので、乳幼児には使用しないでください。
●エステル類
甘い香りが特徴です。毒性はありません。ただ、長期間使用することで皮膚刺激を起こすことがあります。
○主な主成分名
アンゲリカ酸イソブチル 酢酸リナリル 酢酸ゲラニル 酢酸ベンジル 安息香酸ベンジル アンスラニル酸ジメチル サリチル酸メチル
○主な効能
抗痙攣 神経系の鎮静が高い 抗炎症 鎮静 セロトニン放出を調整 心身のバランス調整 中枢神経鎮静 抗うつ 神経性の心臓障害 高血圧など
○エステル類を多く含む精油
ベルガモット シベリアモミ ローマン・カモミール カルダモン 真正ラベンダー クラリセージ ビター・オレンジ プチグレン ウインター・グリーン ラバンディン
○注意事項
サリチル酸メチルはウインター・グリーンのみに入っています。シップ剤などに含まれている成分ですが、アスピリンと同じような働きをします。また、皮膚刺激があります。この成分以外は作用も穏やかで肌にも優しいので使いやすいです。
●ラクトン類
大体の語尾は「ラクトン」で終わりますが、中には「イン」で終わる場合もあります。
○主な主成分名
クマリン ジャスミンラクトン ベルガプテン アンゲリシン ベルガモッチン キサントトキシン
○主な効能
高血圧 鎮静 精神高揚 脂肪溶解 粘液溶解 抗ウイルス 抗真菌など
○ラクトン類を多く含む精油
ベルガモット ジャスミン イヌラ
○注意事項
フロクマリン類には光毒性があるので、塗布後直射日光や紫外線が当たらないように注意しましょう。
また、クマリンには肝毒性があります。
いかがでしたでしょう?
精油の成分といっても、ここで書かれている事を全て覚える必要はなく、大事なのは毒性のある成分を覚えておくことが大事です。
どの精油にどの成分がどれくらいの量が入っているかわかれば、精油の使用用途も広がってきます。
安全に安心してアロマテラピーを長く続けられる為に、ぜひ、皆様の参考にして頂きたいと思います。
最近の投稿
アーカイブ
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年11月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年5月
- 2017年1月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月