現在日本ではTPP問題など、食の安全性について騒がれています。
海外からの食品も不安視されていますが、それ以上に心配なのは“農薬”です。
日本は依然として農薬大国であり、OECDという機関による調査によると、農薬使用量が韓国に次ぐ2位で、アメリカの7倍の量に相当します。
今回は、農薬の危険性や避けるための方法を見ていきたいと思います。
農薬って??
農薬を大量に使っているというイメージをもつのは、アメリカや中国が多いのではないかと思い浮かべる人も多いかと思います。
しかしそれらの国よりも国土の狭い日本や韓国が上位にいるというのはなぜでしょうか。
それは、このOECDの調査では、単位面積当たりの農薬使用量を調査したものだからです。
アメリカや中国は国土が広いため、確かに農薬使用量は多いですが、単位面積当たりの使用量は日本の方が多い、つまり日本は国土面積が狭い割に農薬をたくさん使っているということです。
野菜一つに対して使用される農薬の量が多いということは、その分農薬濃度が高いといえます。
野菜だけでなく、果物やお米などにも当てはまるので、日常的にそれらを口にしていると思うと恐ろしくなりますね。
農薬を体の中に入れるというのは、かなり危険なことです。
日常的に少量ずつでも体の中に蓄積していきます。
ちりも積もれば山となる、ということわざがありますが、こんなに怖い“ちり”はありませんね。
農薬を日常的に摂取していると、日常生活に様々な支障を起こしていきます。
例えば、のどが渇きやすくなる、めまい、目の充血や痛み、皮膚のかぶれ(アトピーやアレルギーも含む)、息苦しさ、吐き気、嘔吐、発熱、だるさなどです。
また、体の奥深くまで影響を与えることもあります。
残留農薬って
残留農薬は、DNAに支障をきたすリスクはがあるのです。
大量の残留農薬が体内に入ると、遺伝毒性という、遺伝子そのものが損傷を受けるというような危険性もあると指摘されています。
さらに、子どもの脳の発達に害がある可能性もあるとされています。
EUでは、子どもの脳の発達に害を及ぼす可能性があるとして、ネオニコチノイド系の農薬の使用を全面的に禁止しました。
しかし、日本ではいまだに使用が許可されている農薬なのです。
上記のように、残留農薬は、さまざまな悪影響を人体に与えます。
殺虫剤として使っていたりする農薬が体に良いわけがありません。
虫を殺せるということは、それほどの毒性を持っているということです。
確かにキャベツなどの葉野菜をサラダにしようとまな板にのせた時、青虫などが出てきたりすると、びっくりするし、気持ち悪いなと思ってしまうときもあるかもしれません。
しかし、青虫がいるということは、青虫が葉を食べても大丈夫だということであり、農薬を使用している可能性は低くなります。
青虫よりも農薬の方が怖いですから、やはり日頃の食品、食材選びは慎重にしたほうがよいでしょう。
農薬は、調理前の準備(水洗いなど)次第で減らすことも可能です。
残留農薬の減らし方
キャベツやレタスなどの葉野菜の一番外側の葉を1枚取るだけで、残留農薬は激減できるのです。
野菜や果物の皮は農薬が残りやすいです。
それを除去する一番簡単な方法は、外側部分を取り除いてしまうこと。
手っ取り早いのでおすすめです。
次に、野菜などを調理する前に洗わない人はいないとは思いますが、しっかりと洗い、流水にさらすことです。
表面の柔らかいもの(葉物など)はザルで振り洗い、硬いもの(根菜類など)はスポンジなどで泥を落とし、スポンジなどでしっかりとこすり洗いをしましょう。
表面に農薬がたくさんついているのを、徹底的に落とす!くらいの気持ちでしっかりと水洗いするだけで、残留農薬を30%〜80%減らすことができます。
次は下ゆでです。
ゆで時間は1分を目安にするとよいでしょう。
ゆで過ぎると、野菜に含まれる水溶性のビタミンが溶け出してしまい、体の中に入る前になくなってしまうので気をつけましょう。
ほうれん草の場合、1分ほどであれば、ビタミンが74%は残っているそうです。
熱湯消毒のようなものなので、必要に応じて下茹でのひと手間を加えましょう。
次は酢や塩水に漬けるという方法です。
酢や塩には、野菜の余分な水分やアクを抜く働きがあります。
野菜を酢水や塩水に漬ける、塩もみや板ずりをするという作業で、素材の中に浸透した残留農薬などの有害物質も一緒に水と排出されるため、覚えておきたい方法です。
ちなみに塩もみをした野菜はしっかりと水洗いすることをおすすめします。
水洗いを適当にしてしまうと、かなり塩辛くなってしまうので、しっかりと流水で塩分を洗い流しましょう。
上記のように、さまざまな残留農薬を除去する方法をご紹介しましたが、そもそも農薬を使っていないような野菜を買えば早いのではないか…と思われるかもしれません。
無農薬野菜は値段が高くなりますが、無農薬でなくても、農薬使用量の少ないものを買い、上記のような除去方法をとれば、無農薬に近いくらい農薬を除去することも可能です。
それでは、野菜を買うときのポイントについてご紹介します。
現在は健康志向などの時代の流れによって、無農薬野菜の需要が高まっています。
いろいろなオーガニック食品を扱うお店も増えてきました。
都内でいえば、ナチュラルハウス、ファーマーズマーケット(土日のみ)、お茶の水GAIAなどなどさまざまです。
このようなところは、情報をきちんと公開しているところなので、食の安全を考えるのであれば、是非行くべきお店です。
また、店舗でなくても通販にも無農薬・無添加志向のものがあり、生活クラブやベジリンクなどがそうです。
これらも店舗と同様に生産者の顔が見えるようなシステムになっているので、安心して野菜などの食材を手に入れることが可能です。
このように昔に比べ、現在は健康志向の流行も相まって、農薬の危険性について考えるような人が増えてきました。
しかし、やはりスーパーに並ぶ野菜などは農薬が使われているのが現状です。
農薬の危険性はわかったけど、無農薬野菜は安くはないし、食費が馬鹿にならなくなってきてしまうという問題もあります。
この現状の中に生きている私たちですが、さまざまなひと手間によって農薬を避けることもできるのです。
よく水洗いするだけで、残留農薬を減らすことができるのですから、やってみる価値はあるでしょう。
農薬などは目には見えませんが、目に見えないからこそ自分の知らないうちに体内を蝕んでいくような恐ろしさもあります。
小さなひと手間、日々の心がけによって、健康に活き活きと生きていけるのです。
人間が生きていくうえで、“食”はかかせないものです。
食べることによって体が作られているのですから、当然なくてはならないものです。
しかし、現在は効率化などの理由で、有害な物質が食べ物にたくさん使われています。
それらをすべて避けていくことの方が難しいともいえるでしょう。
そんな時代の中に生きてはいますが、世の中の人々が健康志向になり始めているだけでもおおきな進歩なのではないでしょうか。
一人一人が自分の体のことを考え、自分の体にとって害になるようなものを避けつつ、それらを除去する方法について考えていくということが重要になるでしょう。
海外産の食品に対してだけではなく、国産のものに対しても同様に、見極める目をもつことが大切になってくるでしょう。
しっかりと見極め、身を守る手段を考えて生きていきたいですね。